お風呂は、カラダを清潔に保つだけでなく 、一日の疲れを癒し、心も体もリセットしてくれる大切な時間です。
夏でも冬でも、正しい入浴は、毎日できる身近な健康法です。
間違った入浴方法をしていては、疲れが取れるどころか体に大きな負担がかかります。
正しいお風呂の入り方を知って、カラダとココロの疲れを洗い流し、健康を維持しましょう。
Contents
お風呂の”3つ”の健康効果
①疲労回復
皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がり、血流が良くなります。
それにより体内の老廃物や疲労物質の除去、コリがほぐれ疲れが取れます。
正しい入浴の仕方によって、細胞が活性化し、免疫力アップも期待できます。
②血行促進
適度な水圧によるマッサージ効果で血行が促され、血液循環がよくなり、足のむくみも解消されます。
お湯から上がると水圧が無くなるので、手足の先まで一気に血液が流れ、全身の血行が良くなります。
お風呂に浸かる深さは、水圧による心臓や肺への負荷を考えると、みぞおちから乳頭部くらいの高さが、体に無理なくゆったりと温めることができます。
③リラックス
浮力により体重が8分の1程度に軽く感じられ、筋肉が緊張から解放されると同時に、精神的にもリラックスします。
40℃程度のぬるめのお風呂に入ると副交感神経が刺激され、心身がリラックスし、胃腸などの働きが活発になり、寝つきがよく質のよい睡眠が得られます。
ヒートショックプロテイン(HSP)
ヒートショックプロテイン(HSP)とは
細胞や組織の保護、修復の働きをもつタンパク質で、身体に熱が加わる と増加することが分かっています。
入浴は、 HSPを増加させる最も簡単で効率的な方法であり、また 組織の修復にも役立っていると考えることができます。
ヒートショックプロテイン(HSP)が増えると
1.NK(ナチュラルキラー)細胞が活性化し免疫力がアップする。
2.異常になったたんぱく質を修復するので細胞そのものが正常化・強化される。
3.疲労物質の生産を抑制するため運動能力が高まる。
といった効果が期待できます。
老化に伴いHSPの生産は低下するので 、お風呂で増やしましょう。
”HSP”を増やす
「正しいお風呂の入り方」
1.コップ1杯の常温のお水を飲む
2.バスタオルと着替えは、すぐ手の届くところに置いておく
3.冬は浴室内を温めておく
浴槽のふたを開けたり、シャワーをかけ流しにしておくと良いです
4.湯船の温度は38℃~40℃
5.手、足、体(心臓に遠いところから)に、かけ湯をする
6.サッと汚れている所を中心に、かけ流す
7. 浴槽に、足→手→体 の順にゆっくりと浸かる
8. 湯船に10分程度浸かる
みぞおちから乳頭部くらいの高さまで入るのが、体に負担がかからず、温まります。
9.ゆっくり立ち上がる
(急激な血圧の変化を防ぐため)
10. 体を洗う
(大きめの洗面器などにお湯をためて、足湯をしながら洗うと良いです)
11.浴室内ですぐにバスタオルで体の水分を拭きとる
12.脱衣所で衣類を着て、温まった体を冷やさないようにする
13.コップ1杯の常温のお水を飲む
公共の場では、先に体を洗うのがマナーですが、
家風呂ではまずサッとかけ流してお湯に浸かり、
温まってから洗うと、汚れも落としやすいです。
冬など体を洗っている間に冷えてしまわないように、
足湯をしながら洗うと良いです。
お風呂の注意点
◆飲酒後運動後は入ってはダメ
飲酒後は、血管拡張作用が重なることで、心臓に負担がかかり、貧血や脱水など危険な症状を招く恐れがあります。
運動直後に入浴すると、筋肉に溜まった老廃物などの処理がスムーズに進 みません。
◆食後は1時間あける
血液が皮膚に集中し、消化器の血液の量が不足して、消化が悪くな ります。
◆お湯の温度は41℃まで
41℃を超えると危険ゾーンに入り、42~43℃で死亡事故が急増するという傾向もみられます 。
どうしても熱いお湯が好きな方は、徐々に馴らしてから温度を上げていきましょう。
◆入浴前・入浴後の水分補給
水分補給には、冷たいドリンクを避け、常温、もしくは温かい飲み物で補うことで、血圧の変動や体への負担を軽減します。
◆脱衣所や浴室とリビングの温度差
冬は常時過ごすリビングとの温度差をなくすように、脱衣所や浴室を温めておくことが重要です。
◆扇風機や冷房
お風呂で汗をかいたあとすぐに、扇風機や冷房で涼むと、せっかく温まった体が冷めてしまいます。
特に濡れたままだと、体への負担も大きくなります。
(のぼせてしまった場合は別)
◆シャワーのみ
シャワーだけでは体温も十分に上がらず、お風呂がもたらす温熱効果がしっかりと発揮されません。
体が温まらなければ、血液が循環せず、疲労回復効果も低くなります。
夏でも湯船に浸かりましょう。
逆効果なお風呂の入り方
◆42℃以上のお湯に浸かる
自律神経(※注1)は、42度の少し熱めのお風呂に入ると交感神経が高まり、戦闘状態のような興奮状態になります。
すると
・心臓の働きが強まり血圧が上がり、脈が速まる
・汗をかき、筋肉は硬直する
・胃腸の働きは弱まる
・寝つきが悪くなる
体感温度は当てになりませんので、湯温計などでお湯が熱すぎないかチェックしてください。
とくに高齢になると皮膚感覚がにぶくなり、気付かずに高温のお湯に入っていることがあります。
(※注1)自律神経
自律神経とは、 循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経で、 交感神経と副交感神経の2種類あります。
交感神経・・・私達が活動している時に働く神経
副交感神経・・・休んでいる時に働く神経
◆長湯
湯船に15分以上浸かると、デメリットの方が多くなってきます。
・乾燥肌の原因
肌の保湿成分となる「油分」がほとんどなくなり、肌が乾燥してしまう原因になります。
・血流が悪くなる
汗を大量にかくことで、血液がドロドロになり、血流が悪くなります。
・血圧の変動
お風呂に入ると、血圧が上昇し、長く浸かってると血管が拡張してくるため、今度は血圧が下がってきます。
こうした血圧の変動は、脳梗塞・心筋梗塞のリスクを高めます。
・水圧による負担
長く水圧がかかることで、内臓に負担がかかり、心筋梗塞などのリスクを高める可能性があります。
・脱水症状
大量に汗をかくので、脱水症状になり意識が遠のく場合もあります。
体調が良くない時は「足湯」や「手湯」
お風呂は、思っているよりも体力を使います。
体調がすぐれない時や、病後などは、正しいお風呂の入り方にこだわらず、無理をしないようにしましょう。
そんな時は、足浴や手浴がお勧めです。
<足浴・手浴の方法>
① 体が冷えないように、部屋を暖めたり、体を毛布などで保温しておく
②42 〜 43℃ とやや高めの湯を洗面器などに入れる
③手足をつける
④温くなったら熱いお湯を足しながら、10分~15分程度つけておく
まとめ
夏は特に、ついついシャワーで済ませがちになりますが、
湯船につかると1日の疲れの取れ具合が全然違います。
寝つきも良くなるので、是非お試しください。
ちなみに、体や髪を洗う際は、ゴシゴシこするのは皮膚を傷め、臭いの原因にもなりかねないので、やさしく撫でる程度が良いです。