腸内環境は、たくさんの種類の様々な細菌がバランスをとりながら、良い状態にしています。
そして、腸内環境のバランスは、体調・食生活・年齢・ストレス・薬の服用…といった、いろいろな原因で崩れてしまいます。
腸内環境は、大腸の病気から全身の疾患、脳の機能さえも影響を及ぼしていることが明らかになってきています。
寿命さえ左右する臓器である「腸」を健康にすることが、健康長寿への第一歩になると言えます。
Contents
「腸」は脳にも影響
脳は臓器など全身を動かす司令を出していますが、
「腸」は指令を受け取るだけではなく、脳に情報を送っていると言われています。
腸は「腸神経系」と呼ばれる独自の神経系を持ち、この神経系の働きによって脳からの指令がなくても自活できるのです。
人体の腸内細菌の変化は免疫や神経系だけでなく、脳にも変化をもたらす可能性があると言われています。
「腸」は精神神経にも影響
腸内環境が悪くなると、おなかの症状だけでなく、
「眠れない、落ち着かない、頭痛、食欲がない、意欲がない、」
などの精神神経症状を訴えられる患者さんがたくさんおられます。
このことは「脳腸相関」として医学的には以前からよく知られた現象として有名です。
腸内菌の種類
腸内細菌は、主にの3種類あります。
① 「善玉菌」
体によい影響を及ぼす菌。
腸の働きを活性化させ、便秘や下痢を予防し、病気に対する抵抗力を高め、健康維持に影響を与えます。
<代表的な菌>
ビフィズス菌・乳酸菌
② 「悪玉菌」
主に体に悪い影響を及ぼす菌。
腸内の腐敗を進め、便秘や下痢を起こします。
炎症を起こしたり発がん性物質をつくり出したり、病気の引き金に影響を与えます。
<代表的な菌>
ブドウ菌、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)
③ 「日和見菌」(ひよりみきん )
特別よい働きもしないが、悪い働きもしない細菌。
善玉菌が多いときは、大人しく 腸内で発酵活動を行い
悪玉菌が増えると、 腐敗活動を行います
<代表的な菌>
バクテロイデス・大腸菌(無毒株)・連鎖球菌
腸内菌の良いバランスとは
健康な腸内では、
乳酸菌のような善玉菌が悪玉菌の定着・増殖を抑えています。
「善玉菌2・悪玉菌1・日和見菌7」が理想のバランスで、
悪玉菌より善玉菌が多い腸内環境を整えることが、健康への第一歩となります。
健康に長生きしている人は、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが良いと言われています。
腸内環境のバランスを左右する要因
腸内細菌の種類は7歳ぐらいまでの生活で決定されるようですが、その後も多くの影響を受けています。
◆善玉菌を増やす要因
・食物繊維
・発酵食品
・乳酸菌
・ポリフェノール
・運動
・抗酸化剤
◆悪玉菌を増やす要因
・高脂肪食
・ストレス
・環境因子
・化学物質
・抗生物質
こうした中で、食事を見直すことが腸内環境を整えるのにとても役立つと言われえいます。
腸内環境が乱れる”8つ”の
<原因>と<対策>
①食生活の乱れ
<原因>
・暴飲暴食、肉食、高脂肪、食物繊維の不足
<対策>
適量をバランスよく食べることが大切です。
※「健康的な食生活の基本」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/magowayasashii/
②運動不足
腹筋が弱ると排便力も弱くなってしまうため、便秘の原因になります。
<対策>
ウォーキングをいつもより少し歩幅を広げ、早くする。
そうすることで、腸に集まった便を押し出すための「腸腰筋」や「腹筋」などの筋力アップにつながります。
ウォーキングの前後には、簡単なストレッチを行うと、体も温まりやすくなり、より効果的です。
※「血流改善・筋肉アップ」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/stretch/
⇒⇒⇒https://yuzu39.com/kinryoku/
※「簡単で効果的な軽い運動」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/stretch2/
③冷え
カラダが冷えると腸の血行も悪くなり、動きが鈍くなります。
これも便秘や下痢の原因に なります。
<対策>
お風呂は自律神経を整える効果もあり、体を温めてくれます。
目安としては、38~40度くらいのお湯に15~20分浸かると良いです。
※「正しいお風呂の入り方」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/bustime/
④不規則な生活
腸の動きを悪くして、悪玉菌を増やす原因になります。
<対策>
規則正しい生活を行うと、
体内時計を整え、排便のリズムが定まってきます。
特に、腸が最も活発に動いて、便を出し易いのは朝食の後です。
ですから、朝食を食べて少し時間を置いたら、トイレに行く習慣をつけると、理想的な排便タイムのリズムができます。
⑤ストレス
腸内細菌のバランスと自律神経は密接な関係で、お互い影響しあっています。
<対策>
腸内環境を整えることで、ストレスを感じにくくさせます。
運動して汗をかいたり、お風呂にゆっくり浸かったり、 自律神経のバランスが整うと、腸の働きも良くなります 。
※「体を整える呼吸法」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/kokyuu/
※「不安やストレス緩和に呼吸瞑想」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/meisou/
⑥極端なダイエット
過度なダイエットは、栄養が偏り、水分不足にもなりやすいので、腸内環境が乱れてしまします。
<対策>
腸内環境を整えることで、消化吸収を助け免疫力を向上させるので、肥満防止にもつながります。
ですので、極端な食事制限よりも、バランスの良い食事を適量食べることがダイエットにもつながるのです。
⑦<加齢>
加齢とともに腸内の老廃物を出す力が弱まり、有害な腐敗物質がたまりやすくなります。
また、善玉菌と悪玉菌のバランスが逆転して、悪玉菌が増えやすくなります。
<対策>
善玉菌を増やす食べ物を意識して取ることです。
例えば、発酵食品・乳製品・野菜・サツマイモ・大豆などです。
⑧ 抗生物質
抗生物質は感染症の治療には有効ですが、使いすぎると関係のない腸内細菌を殺す影響で、バランスが崩れることもあります。
<対策>
抗生物質は、 細菌感染症の治療に欠かせない薬です。
でも、副作用で飲み続けることをためらうことがあれば、無理せず医師や薬剤師に相談 してみましょう。
症状がよくなったからといって、途中で勝手にやめてしまうと、感染症がきちんと治らない恐れがありますので、必ず医師の指示に従ってください。
腸内環境を整える食べ物
①発酵食品
◆<ヨーグルト>
ヨーグルトの乳酸菌は、腸内でビフィズス菌などの善玉菌として増え、腸内を良好な環境に整えてくれます。
◆<甘酒>
老廃物を排出し、善玉菌を増やして腸内環境を整える甘酒は、食物繊維やオリゴ糖、ビタミンB群も豊富
※「甘酒について」詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/amasake/
◆<酢>
酢に含まれるグルコン酸が善玉菌を増やし、腸の働きが活発に。
便秘解消とともに、つかれにくい身体と健やかな腸を育みます
※「お酢の健康パワー」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/su/
◆<納豆>
納豆菌は、善玉菌をサポートし、腸内バランスを整えます。
※「納豆の美味しく栄養を逃さない食べ方」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/natto/
※「ドライ納豆」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/drynatto/
◆<キムチ>
白菜などの野菜を乳酸発酵させたキムチには、 乳酸菌が豊富に含まれ、腸内環境を良くする働きがあります。
◆<味噌>
野菜たっぷりのお味噌汁は、野菜の食物繊維と、味噌の発酵食品で 、善玉菌を元気にするメニューです。
※「豆みそ」について詳しい記事はこちら⇒⇒⇒https://yuzu39.com/mamemiso/
②食物繊維
食物繊維には
水溶性と不溶性の2種類があります。
「水溶性1:不溶性2」のバランスでとる
ことが、便秘解消には大切とされています
◆ <水溶性食物繊維>
海藻類、オクラ、里芋、ごぼう、柑橘類など
◆<不溶性食物繊維>
玄米、そば、トウモロコシ、キャベツ、セロリ、さつまいも、豆類、こんにゃく、キノコ類など
◆<水溶性と不溶性がバランスよく含まれているもの>
アボカド、バナナ、キウイ、納豆など
お腹に優しいレシピ7選
外食や油っぽいものが続いたあとは、お腹に優しいものを食べて、腸内環境を整えましょう。
①きな粉とかぼちゃのスープ
きな粉は消化も良く、たんぱく質が豊富です。
かぼちゃはβカロテンや、抗酸化作用のあるビタミンEも多く含まれるので、お腹の調子が悪い時にでも栄養が取れる一品です。
<材料>2人分
・かぼちゃ・・・1/8
・豆乳・・・300cc
・きな粉・・・大さじ2
・砂糖・・・小さじ1/2(お好みで)
~作り方~
1. かぼちゃは、皮が付いたまま一口大にカットする。
2.切ったかぼちゃを耐熱容器に入れて、電子レンジで600W 5分加熱
3.鍋に、豆乳ときな粉を入れて、きな粉を溶かす
4.きな粉が解けたら、2のかぼちゃを鍋に入れて、煮立ったら出来上がり
※ 甘めにするとおやつ感覚で食べられます。
②野菜とささみのお粥
野菜とサツマイモの甘味が程よく出て、梅干と合います。
梅干に含まれるクエン酸には、腸内の悪玉菌を抑える作用があります。
野菜のビタミン・ミネラル、サツマイモの食物繊維、ささみからはたんぱく質が取れます。
<材料>2人分
・ご飯(冷凍ご飯でも可)・・・200g
・人参・・・1/3
・大根・・・1/6
・さつまいも・・・1/3
・玉ねぎ・・・1/4
・鶏ささみ・・・1本
・だし汁・・・300㏄
・梅干し・・・半分
~作り方~
1.野菜は全て、1センチ角に切る
2.ささみも縦半分にして、5等分に切る
3.だし汁に切った野菜とささみを入れて沸騰させる
4.ごはんと梅干を加えて、弱火で煮込む
5.水分が無くなり、ご飯や野菜がやわらかくなったら出来上がり
(さらさらした食感が好みの場合)
炊いてあるご飯をザルに入れ、水で良く洗って粘り気をとってから、鍋に入れてください。
③カニカマとたまごの雑炊
カニカマは消化も良く、たんぱく質が豊富で栄養満点です。
卵もたんぱく質やビタミンが含まれており、優れた栄養食品です。
消化も良く、栄養も取れるので、お腹の調子が悪い時におススメの一品です。
<材料>2人分
・ご飯(冷凍ご飯でも可)・・・200g
・カニカマ・・・2~3本
・卵・・・1個
・小ネギ・・・適量
・水・・・300㏄
・鶏がらスープの素・・・小さじ1/2
・ポン酢・・・適量
~作り方~
1. ご飯とだし汁を鍋に入れて煮る
2. 鶏がらスープの素・カニカマ・小ねぎを入れて煮る。
3. 水分がなくなりかけたら、溶いた卵を回し入れて、火を止め蓋をして1分待つ
4.蓋を開け、全体をかき混ぜたら出来上がり
④手羽先スープ
手羽先はたんぱく質が多く 、健康に良い免疫力を高める食べ物 です。
煮込むほど、コラーゲンもたっぷり出ますので、疲れた胃腸にも染みわたります。
<材料>2人分
・ 鶏手羽元・・・4本
・ 長ねぎ ・・・1/2
・ショウガチューブ・・・2センチ
・ニンニクチューブ・・・1センチ
・酒・・・大さじ1
・鶏がらスープの素・・・小さじ1/2
・塩・・・一つまみ
・水・・・200cc
・ごま油・・・小さじ1
~作り方~
1.長ネギはみじん切りにする
2. 鍋に、鶏手羽先・酒・にんにく・生姜・鶏がらスープの素・ごま油・水・塩・ねぎの順に入れ、火にかける。
3.沸騰したら弱火にして30分コトコト煮て出来上がり
※ もち米を大さじ1/2程度、一緒に入れて煮込んでも、とても美味しくなります。
⑤鮭のムニエル
鮭は魚の中でも消化が良く、たんぱく質やビタミン・ EPA・DHAなど豊富で。 栄養満点です。
ソースにバルサミコ酢を使うことで、 だ液の量を増やして消化吸収を助ける効果もあります 。
<材料>2人分
・生鮭・・・2切れ
・バター・・・5g
・オリーブオイル・・・大さじ1
・黒コショウ・・・少々
・片栗粉・・・大さじ1
ソース調味料
・バルサミコ酢・・・大さじ1
・醤油・・・小さじ1
・砂糖・・・小さじ1
・レモン汁・・・大さじ1
~作り方~
1.鮭はキッチンペーパーで水気を取り、片栗粉を全体にまぶし、余分な粉は落とす
2. フライパンにオリーブオイルとバターを入れる
3.1の鮭をフライパンに入れ、弱火~中火で両面こんがりするまで焼く(皮の部分もカリッとさせる)
4.焼けたら鮭はお皿に移し、フライパンにソースの材料を入れて中火にかける
5.ソースを混ぜながら、煮詰まったら鮭にかけて出来上がり
⑥キャベツーとシーチキンのサラダ
キャベツはビタミンが豊富で、胃にとても優しい野菜です 。
シーチキンは、 タンパク質・ビタミンB・EPA・DHA が含まれており、消化も良いです。
<材料>2人分
・キャベツ ・・・1/8
(赤キャベツor緑キャベツ)
・ツナ缶・・・1缶
・玉ねぎ・・・1/8
・マヨネーズ・・・大さじ2~3(お好みで)
・塩/こしょう・・・少々
・黒コショウ・・・少々
・レモン汁・・・小さじ1
※ 冷凍の枝豆を入れても合います。
~作り方~
1.キャベツは千切り、玉ねぎはみじん切りにする
2.切った野菜とツナ缶と調味料を全部混ぜます
3.味を見ながら、マヨネーズの量を好みに調整して出来上がり
⑦キムチスープ
キムチ・味噌の発酵食品と、野菜の食物繊維が豊富です。
隠し味に、ヨーグルトか甘酒を入れるのもポイントです。
乱れた腸内環境を整えてくれる一品です。
材料(2人前)
・キムチ・・・150g
・大根・・・1/2
・人参・・・1/2
・ごぼう・・・1本
・ニラ・・・1束
・豆腐・・・1丁
・しじみ・・・150g
・豚バラ肉・・・150g
・まいたけorしいたけorしめじ・・・1房
・冷凍シーフードミックス・・・50~100g
・ヨーグルトor甘酒・・・
ヨーグルトなら大さじ3・甘酒なら100㏄
・味噌・・・大さじ1
・醤油・・・大さじ1
・ごま油・・・大さじ1
・日本酒・・・100㏄
・水・・・200㏄
~作り方~
1. しじみを水で良く洗い、日本酒100㏄に入れて中火でゆっくり沸騰させてから、水200㏄を加えて沸騰させます。
(砂抜きしていないしじみは、薄い塩水につけて暗いところに2~3時間置いて砂抜きしてください)
2. 鍋にごま油を熱して、豚肉→人参→ごぼう→エビイカミックス→キムチを順に炒めます
3. そこに1で取っただし汁を加えます
4. 豆腐・きのこ・大根を加えフタをして、野菜が柔らかくなるまで煮込みます
5. 野菜が柔らかく煮えたら、味噌・(ヨーグルトor甘酒)を加えます
6. 最後にニラを加えてもう一度フタをして1分煮て出来上がり
まとめ
腸内環境を整えるには、食べ方も重要です。
腸に余計な負担がかからないよう、よく噛むことを心がけましょう。
そうすることで消化・吸収がスムーズに進み、腸内環境の改善にもつながります。
腸内環境を整えるためにも、日々の生活を見直してみましょう。